乗馬の勧めの中の人
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馬を動かす際効果的に使える道具として「拍車」がある。この拍車、上手に使えばとても便利なのだが使い方によっては馬に悪影響を与えてしまう危険性がある道具だ。
本日は初心者にとって拍車は必要な道具なのかという事に対する私の見解を記事にしたいと思う。
拍車とは?
人間のかかとに着ける金属の道具で、馬の脇腹にキャクを入れる際補助の役目をする。
その形も様々で、馬によって使い分けたりする。
物事を早く進める時に「拍車をかける」という言葉があるが、その拍車がこれだ。
初心者にとって拍車は必要なのか?
筆者は必要ないと考えている。もちろん指導者によって考え方は色々だが、筆者の考えを記載してよう。
拍車を使う事によってキャクを勉強できなくなる
馬を動かす上でキャクを上手に使えるかどうかという事はとても重要だ。このキャクというのは人間の足全体で馬に力を加えることで、単純に前に出すだけでなく半減脚や内方脚のみの指示、外方脚で指示など色々な使い方ができる。
この繊細な人間の足の指示(キャク)を、拍車一発刺す事で台無しにしてしまうことは初心者によくある話だ。
筆者が考えるに、1mの障害を飛ぶくらいまで、馬場で言えば3科目をふむようになるまでは必要ないとも思っている。こればかりは乗っている馬の特徴などもあるので一概には言えないが、それくらい後から考えて良いものと思ってもらいたい。
拍車を使わない人の方が上達も早い!?
これはある意味都市伝説なのだが、筆者が中学生くらいの時に「拍車を使わない人の方が上達が早い」と中学生仲間で噂が流れたことがあった。
その後私も全日本や国体などに出るようになり、人に教える事も多くなった際その噂について考えたことがあったのだが、噂の根拠はこうだろう。
拍車を使わないで重たい馬や、鈍い馬に乗ったとする。その際その馬を動かそうと試行錯誤する。結果上手な扶助(キャク)を使わなければ指示が伝わらなく、また強い力を出すことが出来なければ、前に出す事も出来ない。結果拍車で楽をする人より、上達は早くなるのではという事だと思った。
これは中学生らしい安直な考えで、拍車も効果的に使えれば上達の早い遅いには関係ないと思うのだが、一理あるとは思う。
上達の速度は人それぞれではあるが、的確な扶助を覚える際、拍車は邪魔になってしまうことがあるのは確かだ。
拍車によって馬に傷を作ってしまう
一番多いトラブルはこれだろう。しっかりかかとを下げて馬に乗れない、正反動が取れない、キャクがどういったものか知らない初心者が拍車を使うと「拍車傷」と呼ばれる擦り傷ができてしまう。
この拍車傷はなかなか治らず(常に拍車やキャクが当たる為)場合によっては血だらけ・化膿してしまったりする。また治ったとしてもその部分の毛は抜け落ちて格好悪い状態になってしまう。
ここに一枚の写真を用意した。もっと血まみれの写真もあるのだが、それを見せる意味はここには無いと思うのでこれくらいにしておく。
わかるだろうか?拍車の当たる場所の毛が薄くなっている。これがもう少し進むと拍車傷として馬にダメージを与えてしまうのだ。
まとめ
筆者は人間の技術的な問題「キャク」の件より、拍車傷のことが理由で初心者は拍車をしばらく付けない方が良いと考えている。
もしあなたが本当に馬が好きなら、本当に上達したいのなら馬を傷つけて良いとは思わないはずだ。上手な人が拍車をつけて乗っても傷がつかず、あなたが乗ったら拍車傷が付くということは原因はあなたしかいないのだ。
もしこの記事を読んで、少しでも考えが変わった人がいるのなら是非次回から拍車なしで馬に乗ってみてほしい。大丈夫、あなたが乗っている馬はあなた以上に乗馬経験豊富なことが多く全てをわかっているはずだ。的確な扶助とキャクを意識して馬に理解をしてもらえば、必ず思い通りに動いてくれる。